身体拘束適正化について行わなければならないことは次のとおりです。
・委員会を設置、開催
・指針の整備
・担当者を置くこと
・研修の実施(年1回以上と新規採用時)
・身体拘束を行った場合は必要な事項を記録しなければならない
すでに義務化となっています。
身体拘束等の適正化を図る措置(身体拘束等の記録、委員会の定期開催、指針の整備、研修の実施)を講じていない場合は、身体拘束廃止未実施減算(5単位/日)になります。
第35条の2 身体拘束等の禁止
第三十五条の二 指定居宅介護事業者は、指定居宅介護の提供に当たっては、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他利用者の行動を制限する行為(以下「身体拘束等」という。)を行ってはならない。
2 指定居宅介護事業者は、やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由その他必要な事項を記録しなければならない。
3 指定居宅介護事業者は、身体拘束等の適正化を図るため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。)を定期的に開催するとともに、その結果について、従業者に周知徹底を図ること。
二 身体拘束等の適正化のための指針を整備すること。
三 従業者に対し、身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施すること。
(解釈通知)
① 基準第35条の2第1項及び第2項は、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
② 同条第3項第1号の「身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下「身体拘束適正化検討委員会」という。)は、事業所に従事する幅広い職種により構成する。構成員の責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の身体拘束等の適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。身体拘束適正化検討委員会には、第三者や専門家を活用することが望ましく、その方策として、医師(精神科専門医等)、看護職員等の活用が考えられる。また、事業所単位でなく、法人単位での委員会設置も可能であるため、事業所の規模に応じた対応を検討すること。
なお、身体拘束適正化検討委員会は、少なくとも1年に1回は開催することが望ましいが、虐待防止委員会と関係する職種等が相互に関係が深いと認めることも可能であることから、虐待防止委員会と一体的に設置・運営すること(虐待防止委員会において、身体拘束等の適
正化について検討する場合も含む。)も差し支えない。
指定居宅介護事業所が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体拘束等の適正化について、事業所全体で情報共有し、不適切な身体拘束等の再発防止や身体拘束等を行わない支援方法の検討につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
身体拘束適正化検討委員会における具体的な対応は、次のようなことを想定している。
ア 身体拘束等について報告するための様式を整備すること。
イ 従業者は、身体拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、身体拘束等について報告すること。
ウ 身体拘束適正化検討委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。
エ 事例の分析に当たっては、身体拘束等の発生時の状況等を分析し、身体拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と適正化策を検討すること。
オ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
カ 適正化策を講じた後に、その効果について検証すること。
③ 同条同項第2号の指定居宅介護事業所が整備する「身体拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
ア 事業所における身体拘束等の適正化に関する基本的な考え方
イ 身体拘束適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
ウ 身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
エ 事業所内で発生した身体拘束等の報告方法等の方策に関する基本方針
オ 身体拘束等発生時の対応に関する基本方針
カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
キ その他身体拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
④ 同条同項第3号の従業者に対する身体拘束等の適正化のための研修の実施に当たっては、身体拘束等の適正化の基礎的内容等適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定居宅介護事業所における指針に基づき、適正化の徹底を図るものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定居宅介護事業所が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修を実施(年一回以上)するとともに、新規採用時には必ず身体拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容について記録することが必要である。なお、
研修の実施に当たっては、事業所内で行う職員研修で差し支えなく、他の研修と一体的に実施する場合や他の研修プログラムにおいて身体拘束等の適正化について取り扱う場合、例えば、虐待防止に関する研修において身体拘束等の適正化について取り扱う場合は、身体拘束等の適正化のための研修を実施しているものとみなして差し支えない。